眠い

こんにちは! 毎日眠い金井です。

寝ても寝ても眠い、そんな経験はありませんか。否、 なくてはならない。あなたもどなたも眠くなければならない。どうか今日も眠くあれ。だって皆がそうでなければ私が不憫過ぎるもん。

なんだって生きてる限り眠いんでしょうか。昔は大人がフォローしてくれました。若いころは眠いよねーって。私も呑気にそうなのかなーって思っていました。きっと若いから眠いんだなーって。

過去に戻ってそんな自分に往復ビンタをかまして眠気覚ましを口に含ませて両手で力の限り塞いでやりたい。 若いからとかじゃない。 事は深刻でした。 私は超絶ロングスリーパーです。

眠いエピソードを引っ張り出そうとすると芋づる式に芋の収穫がとどまることを知りません。

例えばキャピキャピの高校生の頃、母が実技の先生に呼び出されました。「お宅の娘さんは全然練習をしていないようですが、毎日何をしてるんですか。遊び回っているんですか。夜遊びでもしているんですか。」責めるというより心配している様子だったそうです。 母はうつむいて答えました。「家で...ひたすら寝ています...」

朝のラッシュ、奇跡的に一限に遅刻しない時間の電車に乗れても眠くて眠くて、息をするにも難しいくらいぎゅうぎゅうにすし詰めになりながらも私は膝から崩れ落ちました。忘れもしません。倒れた私を囲う人々が退いて、半径1メートルくらい、円を描くようにさあっと空間ができたのです。傾いでいく自分の体をどうすることもできずに靄のかかった思考の中で朧気に不満を漏らしたことを今でも覚えています。...なんだよ...スペース...あるのかよ...最初から...これくらいの...パーソナルスペース欲しかった...

花の大学生の頃、周りが何と言おうと私は結構真面目な学生でした。専門家のフェチ全開の講義が面白かったので授業が好きでした。でも1コマ90分、1分も寝ずに講義を受け続けることがただの一回もできませんでした。必修単位を取り終わって自分が受けたくて選んで受けていた講義でもです。 貴重な知識の数々。バッハの膨大な量のカンタータ、シューマンの人生と楽曲の変遷、ショパンの和声の仕組み、ラヴェルの緻密な楽曲分析、マニアックな西洋史、 法の目をギリギリかいくぐって現地から調達してきた映像とともに語られる美術史、...それらをさらさらと砂のように取りこぼしてきました。

毎回楽しみにしていたのに、どうしても寝落ちしてしまう時間があり、熱心に取っていたノートには必ず抜けがあります。闘った後もあります。つまり古代文字のような謎の言語が記されているのです。最後はお約束、文字の端から斜め下にグッと食い込んでいくような斜線で無念が垣間見えます。可哀想に。

パリ留学時代は、人生で一番練習に没頭する期間にすると決めていました。確かにそれまでに比べて練習量は飛躍的に増えていました。しかしだからといって眠くないなんて甘い話はなかった。まだ弾きたかったけど、もう起きていられないとベッドに倒れ込んだある日の夕方、ふと閃きました。今まで人よりは寝てきたけれど、眠くなくなるまで眠るということは一度もしたことがなかった。もしかして眠れる限り眠り尽くしてみたら、覚醒ゾーンが待っているかもしれない。それだ。実験してみよう。寝言は寝て言え? 寝てるんだよなあ。

ご飯も食べずシャワーも浴びず歯も磨かず、そのまま眠りました。するとどうでしょう。トイレに数度起きる以外は、24時間キッチリ眠ったのです。

寝ぼけ眼で時計と窓の外の夕焼け空を確認し、失われた一日を想いながら、ようやく悟りました。

...そうか。どれだけ寝たって無駄なのか。限界なんてないんだ。ずっと眠いんだ。起きても寝ても抵抗にならないんだ。私は勝てないのだ。睡眠欲は天敵だと思っていたけれど、そうじゃない。神なのだ。絶対神なのだ。ひれ伏して生きていかなければならない。許しを請うて起きなければならない。

自分が睡眠神の申し子であり、覚醒神に見放された人間であることを悟り、受け入れました。そしてそのまま眠りました。

わかりましたか? 多くの人々にとっては意味不明でしょう。しかし地球上にはきっと仲間がいると私は信じています。睡眠神の申し子たち、私の兄弟、私たちはけして怠けていたり、意志が弱いわけじゃない。そんなことは関係なく、ただ眠いのです。世界は眠いベースで形成されており、覚醒は奇跡なのです。責めないでください。神に愛されているだけなのです。

私が新興宗教睡眠教を旗揚げするのは眠いから無理なのでひっそりとテレパシーを送るしかないわけですが、次に考えるべきは、眠っている、という時間は人生に加算されるのか、ということです。つまり稼働時間が少ない人間は、同じ年月を生きている他の人間に比べて思考時間も人生経験も少ないわけですよね。 睡眠中は死と同じと見なせば、生きている時間は大幅に減っているということになります。

となると、絶望するのはまだ早いかもしれません。私たちはまだ若いと考えられるからです。他人の倍寝ていれば、他人の半分若いということになりますから、 あの人やその人に比べて未熟なのは何も不思議なことではありません。あの人やその人は人生の先輩なのです。あなただけがまだ何の成果を得られていないと感じていても、コンプレックスに苛まれる必要はありません。

そう、諸君!  私たちはまだ若い。希望を持て。大丈夫、デメリットは結果的に早死にすることくらい。それすらデメリットかどうかわからない。早死にはロマンとも言える。あなたの肉体がヨボヨボの90歳の時、肉体の年齢なんて些末なことです。あなたはまだ45歳です。45年間の人生を全うして早死にしたらもういいじゃないですか、かっけーよ。 他人から大往生と言われても私は知っている、それが早死にだということを。 覚醒神に愛された人間を恨むな。でも転生する前に覚醒神にはマジで媚びへつらおうな。お願いですからショートスリーパーにしてくださいって土下座しような。来世に懸けような。頑張ろうな。な。なっ!

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